北海道中学校長会の公式ホームページです。
当会は、北海道の中学校長の職能向上を図り、北海道の中学校教育の振興を目的として活動を行っております。
このホームページでは、当会の活動報告、北海道の中学教育に関する最新の情報を掲載するとともに、各種研究協議大会の情報も掲載いたします。

令和8年度 北海道中学校長会 会長 挨拶

 こどもまんなかへ 共に歩む道中

         

  北海道中学校長会 会長     前田 真志

                              (江別市立中央中学校)

 子どもを取り巻く環境を見渡してみますと、世界では、自由・多角・互恵的な価値観が揺らぎ、保護主義的・自国中心主義的な時代への転換が進みつつあり、その背景には、国際秩序の揺らぎ、技術革新の進展、資源・エネルギーを巡る争奪の激化、という3つの地殻変動が起きています。 

 国内では、少子・高齢化社会の中で、我が国の第4期教育振興基本計画は、「羅針盤」として、「持続可能な社会の創り手の育成」及び「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」と21世紀にふさわしい指針を掲げました。また、令和7年9月には、中教審の教育課程企画特別部会から「論点整理」により、主体的・対話的で深い学びの実装、多様性の包摂、実現可能性の確保の3つの方向性が掲げられ、多様な子どもたちの深い学びの実現を目指す教育システム改革の全体像が示されました。

 北海道では、令和7年3月改定の「北海道総合教育大綱」において、求められる人間像として、「自らの意見を表明し、社会づくりに参画する人」を第4の項目とし、「子どもや若者が意見を言いやすい環境をつくり、子ども・若者の社会参画・意見反映を支える」が示されました。また、同時期に道議会で可決された「北海道こども基本条例」も受けて、各市町村では「こどもまんなか」を位置付けた施策が確実に進められているところであります。政令指定都市の札幌市でも、第2期札幌市教育振興基本計画に掲げられている、「自立した札幌人」の育成をめざし、「人間尊重の教育」を基盤とし、「自分が大切にされている」と実感できる学校づくりに向けて、「子どもの声を聴く」ことを全ての教育活動を貫く重点として、学校教育が推進されています。

 北海道中学校長会では、先人の諸先輩がいつの時代にも連協・協働し、一人一人の子どものために、困難を恐れずに挑戦を続ける地域の人々と共に、着実に歩んでまいりました。本会の目的である「中学校長の職能の向上」と「北海道の中学校教育の振興」と、子どもたちを取り巻く情勢を受けて、本年度は「こどもまんなかへ 共に歩む道中」と掲げます。本スローガンには、昨年度の「こどもまんなかへ」に示された「すべてのこどもが個人として尊重され、その基本的人権が保障される」こと前提に、その子どもと共に伴走者である私たち教職員も成長する、また北海道における550の中学校が連携・協働して進んでいく、ということを示しました。振り返れば学校には、今までも多様な個性や特性、背景を有する子どもたちがおり、諸先輩方は、知恵と工夫を凝らし、その子どものために教育を担ってきました。昨今は社会の変化が大きくなり、その振り幅に、私たち校長は、悩み迷う時もありますが、そのような時にこそ「こどもまんなか」を軸に置き、北海道が目指す教育の基本理念、「共生」を体現する学校という集団を率いているという矜持(きょうじ)をもち、子どもたちと共に成長することを、再確認していくことが不可欠です。さらに、教職員の服務規律の遵守の徹底はもちろん、地域の信頼に応え、愛される学校経営にあたらなければならないと考えます。

 今年度の活動を推進するにあたり、三点について述べさせていただきます。

 一つには、本会の組織と機能を充実させ、活動の活性化を図ることです。9月25日・26日に第67回北海道中学校長会研究大会函館大会が開催されます。昨年度の胆振・室蘭大会の成果を踏まえ、校長同士の対話による実践の交流や、講話・講演等を通して私たちの職能の向上を図るとともに、校長同士の連携を更に強固にしていきます。また、8月~10月に道内各地区で開催される、地区別教育経営研究会の内容の充実を図ります。

 二つには、確かな学力、豊かな心、健やかな体をはぐくむための「カリキュラム・マネジメント」です。「全日中新教育ビジョン」が示す「十の提言」や北海道中学校長会の令和8年度「運営方針及び活動の重点」を根幹に据え、基礎的・基本的な知識及び技能の確実な習得と、それらを活用する能力及び学びに向かう力を育むとともに、個性を生かし、多様な人々との協働を促す教育活動の改善・充実や、いじめ防止、不登校生徒への支援の充実等、誰一人取り残されない子どもの学びと、成長に向けた環境の整備・充実を、引き続きお願いいたします。

 三つには、多様な教育活動を推進するための教育諸条件の整備・充実についてです。特に、部活動の地域展開に伴う実態の情報交流により、段階的な推進を協議して参ります。

 いずれの活動も、副会長の皆様をはじめ、運営委員・地区理事の皆様、そして何よりも全道20地区、550人の会員の皆様により成されるものです。御支援と御協力をお願いいたします。

 結びになりますが、私たち中学 校長は、子どもたちの「社会を生き抜く力」と「よりよい社会を形成する力」を育むとともに、生徒・保護者・地域の信頼と期待に応えるため、子どもを主語とする教育活動や多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成など、新しい時代に求められる学校づくりを推進しなくてはなりません。そのため、他校種、教育関係機関や各種団体の皆様、保護者や地域の皆様とも幅広くつながり、お互いの立場や考え・願いを理解し合いながら、これからの新しい「変革」の時代に求められる学校づくり、環境づくりに努めてまいりたいと考えております。

 本会をお支えいただく教育関係団体の皆様には、今後とも本会の発展のために一層の御指導、御支援を賜りますことをお願い申し上げます。

今の社会情勢,教育情勢を振り返りますと,平成25年に国連で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」には今日広く知られるSDGsの考えが掲げられました。また,平成21年にOECDは「より良い暮らしのための,より良い政策」をスローガンに,ウェルビーイングの追求をミッションとして掲げました。この国際的な動きの背景には,それまでの経済成長中心の世界観から人間中心の世界観へのパラダイムシフトが存在いたします。

 我が国においては,令和5年に閣議決定された第四期教育振興基本計画で,2040年以降の社会はこれまでの日本社会や制度の延長上では対応できないものと想定されており,この状況を見据えた教育政策の総括的方針として「持続可能な社会の創り手の育成」と「日本社会に根ざしたウェルビーイングの向上」という二つのコンセプトを掲げています。同じく令和5年に閣議決定されたこども大綱においては,全ての子供が身体的・精神的・社会的に幸せな状態で生活することができる「こどもまんなか社会」の実現を目指すとされています。

 北海道においては,令和5年に策定された北海道教育推進計画において「子どもたち一人一人の可能性を引き出す教育の推進」「学びの機会を保障し質を高める環境の確立」「地域と歩む持続可能な教育の実現」を柱とした目指す教育の全体像が示されています。同じく北海道では令和7年3月の定例会において北海道こども基本条例が可決され,社会全体でこども施策を総合的かつ計画的に推進し,こどもが将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会の実現を目指すことが示されました。

 文部科学省は令和6年12月,中教審に「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について」を諮問し次期学習指導要領についての検討がスタートしました。その際に顕在化している課題として「主体的に学びに向かうことができていない子供の存在」「学習指導要領の理念や趣旨の浸透は道半ば」「デジタル学習基盤の効果的な活用」を挙げています。加えて現場を預かる校長としては,いじめ・不登校への対応,働き方改革の推進,部活動の地域展開,新たな研修制度に基づいた教職員の資質・能力の向上,服務規律の徹底,教員のなり手不足といった諸課題にも引き続き取り組む必要があります。

 北海道中学校長会では,その77年の歴史を紐解いてみると,我々の先輩方は子供,教職員,学校の未来のため,いつの時代においても堅実に研さんに励み,オール北海道の意識高く,一人一人の子供を主語にする学校教育の実現にしなやかさをもって努めてまいりました。この気概を引き継ぎ,前段で述べた教育情勢を総合的に鑑みた学校からの教育改革の実現に向け,本年度は「こどもまんなかへ 堅実に歩む道中」をスローガンに掲げます。今回のスローガンには道中表記基準である漢字の子,漢字の供ではなく,敢えて平仮名表記の「こども」を用いました。これは一連の国や道の考え・施策と連携・協働する意思表示であります。また,本スローガンには「こどもを主語にした教育の実現に向けて」という目標としての意味と,「こどもを主語に据えて行動する」という道中自身の行動指針としての両方の意味を込めました。さらに,「堅実に歩む」という言葉には道中の方針,施策を決定するにあたり,諸先輩方が築き上げた丁寧な説明による共通理解と慎重審議の姿勢の継承の意味を込めました。

 以上の文脈の下,本会の目的である「中学校長の職能向上を図り,北海道の中学校教育の振興」の達成に向け,今年度も研究大会を開催いたします。9月26日・27日に開催される第66回北海道中学校長会研究大会胆振・室蘭大会では,昨年度の十勝・帯広大会における成果を踏まえ,校長同士の対話による実践の交流や,講演等を通して,私たちの職能向上を図るとともに,相互のつながりを更に強固にすることができることを願っております。

 また,研究大会の開催以外にも,本会の理念,目的の実現のために様々な活動を行っておりますので紹介いたします。5月には道小,道中,道公教の連名にて,各地区の実態や願いを反映した要望書を道教委へ手交させていただいております。8月には道教委の皆様と喫緊の教育課題等についての共通理解を図るべく意見交換会,各課懇談会を行っております。

 8月から10月にかけての地区別教育経営研究会の実施にあたっては事務局員の派遣を通し,各地区の校長会の皆様と学校経営について共に学ぶ機会とさせていただいております。さらに,学校経営の資料,法制研究集録の発刊により,全道の校長の学校経営へ寄与させていただいております。

 調査,報告については,教育課程の調査をはじめ,いじめ・不登校,GIGAスクール構想といった,その時々の情勢に合わせた調査,分析を行い,提供させていただいております。

 一連の活動については道中だより,道中HP,全道中といった媒体により広くお知らせすることにより,全道各地の中学校長の学校経営の参考にしていただいております。

 私たち中学校長は,子供たちの「社会を生き抜く力」と「よりよい社会を形成する力」を育むとともに,生徒・保護者・地域の信頼と期待に応えるため,子供を主語とする教育活動や多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成など,新しい時代に求められる学校づくりを推進しなくてはなりません。そのため,他校種,教育関係機関や各種団体の皆様,保護者や地域の皆様とも幅広くつながり,お互いの立場や考え・願いを理解し合いながら,これからの新しい時代に求められる学校づくり,環境づくりに努めてまいりたいと考えております。

 どうぞよろしくお願い申し上げます。