北海道中学校長会の公式ホームページです。
当会は、北海道の中学校長の職能向上を図り、北海道の中学校教育の振興を目的として活動を行っております。
このホームページでは、当会の活動報告、北海道の中学教育に関する最新の情報を掲載するとともに、各種研究協議大会の情報も掲載いたします。
令和7年度 北海道中学校長会 会長 挨拶
こどもまんなかへ 堅実に歩む道中
北海道中学校長会 会長 山田 誠一
(室蘭市立室蘭西中学校)
昨今の社会情勢,教育情勢を振り返りますと,平成25年に国連で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」には今日広く知られるSDGsの考えが掲げられました。また,平成21年にOECDは「より良い暮らしのための,より良い政策」をスローガンに,ウェルビーイングの追求をミッションとして掲げました。この国際的な動きの背景には,それまでの経済成長中心の世界観から人間中心の世界観へのパラダイムシフトが存在いたします。
我が国においては,令和5年に閣議決定された第四期教育振興基本計画で,2040年以降の社会はこれまでの日本社会や制度の延長上では対応できないものと想定されており,この状況を見据えた教育政策の総括的方針として「持続可能な社会の創り手の育成」と「日本社会に根ざしたウェルビーイングの向上」という二つのコンセプトを掲げています。同じく令和5年に閣議決定されたこども大綱においては,全ての子供が身体的・精神的・社会的に幸せな状態で生活することができる「こどもまんなか社会」の実現を目指すとされています。
北海道においては,令和5年に策定された北海道教育推進計画において「子どもたち一人一人の可能性を引き出す教育の推進」「学びの機会を保障し質を高める環境の確立」「地域と歩む持続可能な教育の実現」を柱とした目指す教育の全体像が示されています。同じく北海道では令和7年3月の定例会において北海道こども基本条例が可決され,社会全体でこども施策を総合的かつ計画的に推進し,こどもが将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会の実現を目指すことが示されました。
文部科学省は令和6年12月,中教審に「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について」を諮問し次期学習指導要領についての検討がスタートしました。その際に顕在化している課題として「主体的に学びに向かうことができていない子供の存在」「学習指導要領の理念や趣旨の浸透は道半ば」「デジタル学習基盤の効果的な活用」を挙げています。加えて現場を預かる校長としては,いじめ・不登校への対応,働き方改革の推進,部活動の地域展開,新たな研修制度に基づいた教職員の資質・能力の向上,服務規律の徹底,教員のなり手不足といった諸課題にも引き続き取り組む必要があります。
北海道中学校長会では,その77年の歴史を紐解いてみると,我々の先輩方は子供,教職員,学校の未来のため,いつの時代においても堅実に研さんに励み,オール北海道の意識高く,一人一人の子供を主語にする学校教育の実現にしなやかさをもって努めてまいりました。この気概を引き継ぎ,前段で述べた教育情勢を総合的に鑑みた学校からの教育改革の実現に向け,本年度は「こどもまんなかへ 堅実に歩む道中」をスローガンに掲げます。今回のスローガンには道中表記基準である漢字の子,漢字の供ではなく,敢えて平仮名表記の「こども」を用いました。これは一連の国や道の考え・施策と連携・協働する意思表示であります。また,本スローガンには「こどもを主語にした教育の実現に向けて」という目標としての意味と,「こどもを主語に据えて行動する」という道中自身の行動指針としての両方の意味を込めました。さらに,「堅実に歩む」という言葉には道中の方針,施策を決定するにあたり,諸先輩方が築き上げた丁寧な説明による共通理解と慎重審議の姿勢の継承の意味を込めました。
以上の文脈の下,本会の目的である「中学校長の職能向上を図り,北海道の中学校教育の振興」の達成に向け,今年度も研究大会を開催いたします。9月26日・27日に開催される第66回北海道中学校長会研究大会胆振・室蘭大会では,昨年度の十勝・帯広大会における成果を踏まえ,校長同士の対話による実践の交流や,講演等を通して,私たちの職能向上を図るとともに,相互のつながりを更に強固にすることができることを願っております。
また,研究大会の開催以外にも,本会の理念,目的の実現のために様々な活動を行っておりますので紹介いたします。5月には道小,道中,道公教の連名にて,各地区の実態や願いを反映した要望書を道教委へ手交させていただいております。8月には道教委の皆様と喫緊の教育課題等についての共通理解を図るべく意見交換会,各課懇談会を行っております。
8月から10月にかけての地区別教育経営研究会の実施にあたっては事務局員の派遣を通し,各地区の校長会の皆様と学校経営について共に学ぶ機会とさせていただいております。さらに,学校経営の資料,法制研究集録の発刊により,全道の校長の学校経営へ寄与させていただいております。
調査,報告については,教育課程の調査をはじめ,いじめ・不登校,GIGAスクール構想といった,その時々の情勢に合わせた調査,分析を行い,提供させていただいております。
一連の活動については道中だより,道中HP,全道中といった媒体により広くお知らせすることにより,全道各地の中学校長の学校経営の参考にしていただいております。
私たち中学校長は,子供たちの「社会を生き抜く力」と「よりよい社会を形成する力」を育むとともに,生徒・保護者・地域の信頼と期待に応えるため,子供を主語とする教育活動や多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成など,新しい時代に求められる学校づくりを推進しなくてはなりません。そのため,他校種,教育関係機関や各種団体の皆様,保護者や地域の皆様とも幅広くつながり,お互いの立場や考え・願いを理解し合いながら,これからの新しい時代に求められる学校づくり,環境づくりに努めてまいりたいと考えております。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
北海道中学校長会事務所 札幌市中央区北1条西3丁目
敷島プラザビル内
TEL : 011-251-1344
FAX : 011-251-1302
E-mail : dotyu-kotyokai@bz04.plala.or.jp